序
プロダクト開発においては、もうAIエージェントを用いるのは当たり前になりましたね〜。私ももうコードは書いてません。
一般化に伴い「AIめっちゃすごいじゃん」みたいな論調は落ち着いてきた印象ですが、まだ各々の印象のばらつきは大きいように思います。
ということで、QAエンジニアとしての個人の感覚を書きます。お分かりの通り、タイトルは反語です。
「ゲームチェンジャー」
考え方を根本から変える、大変革をもたらす何か*1、と捉えています。インターネットとかスマホとか?そういうレベルですかね。
AIが変えたもの/変えなかったもの
開発プロセス全体
一般に開発プロセスは概ね以下の要素からなると思います*2。
- 計画: 何を作るか、どのような仕様にするか
- 設計: どのように実現するか
- 実装・テスト: 実現と実現内容の検証
- リリース: 顧客への提供
- 運用: モニタリングとフィードバック
SDDだのハーネスエンジニアリングだの手法やツールは色々ありますが、大して変わってなくない?と思っています。プロダクト開発を丸々ひっくり返すほどのインパクトではなかったのでは。
実装
プロダクトコードを手で書くことはかなり減りました。そういう意味ではAIによる変化が大きい部分だと思います。
ただ、それでも「プログラミング言語で処理を記載し、設計内容を実現する」ということは変わっていません。設計内容を入力するとネイティブバイナリが出力される、というようなこともまだありません。
テスト
自動テスト
私が携わっているのがここら辺ですが、AIのパワーが発揮できる領域だなあ、と感じています。最近はmdファイルで書いたテスト仕様書をPlaywrightのテストスクリプトにしてもらったり、その道中ページのDOM構造を読み取ってもらってPageObjectModelクラスに反映してもらったり、大活躍です。
ただし、やはりここも人間の作業の肩代わりです。
マニュアルテスト
個人的にはこの部分をAIに代替してほしい、と思っていました。ClaudeとPlaywright Agentsあたりでいい感じにできないかな〜探索的テストできないかな〜、みたいな感じです。
試してはみましたが、あまりいいテストはできませんでした。まあそれもそうで、画面から読み取れる内容だけを用いてテストを作るからです。テストの目的がスッポリ抜け落ちていました。
運用
AIによるモニタリングを導入しているところも多いと思います。膨大なデータから正しく統計してくれるのはありがたいですね。まあここも作業を代替してくれているだけなわけですが。
ということで
ただの作業の代替をしてくれているだけで、それ以外は何も変えてくれていない、と思っています。ゲームチェンジャーとは言えないんじゃないかな?と。
その上で、どう扱うか
人間の代替として
ここは正直今までのSIerとSESの関係と変わっていないのではないでしょうか。「仕様を作って指示する→実装などの作業を行う」という構造は同じ*3ですから。
うまくやる方法も基本的に同じだと思います。「コミュニケーションを取り続け、ドキュメントを整備し続け、それを読み続け、同じ認識を持ち続けながら作業し続ける」だけです。流れが止まった場所から腐っていくのも同じです。
ツールとして
個人的には「Excelと同じようなもん」として扱っています。AI類を用いたプロダクトもExcelを用いた帳票も同じような性質を持っています。
- 処理プロセスを変えるには至らない
- (Excelも会計処理とかを変えたわけではないですからね)
- 設計を誤るとすぐ崩壊する
- 固まらないまま複数人で触るとすぐ崩壊する
あくまでツールだと考えれば、結局「ベストプラクティスに則る」が一番効くと思います。またAI類ならAI類自身によりよい使い方を尋ねるというのも効きますね。
総括
(今はまだ)AIはゲームチェンジャーではなく、作業を肩代わりしてくれるツール、くらいに捉えておけばよさそうです。エンジニアが丸々失職するには至らず。
大きく変わらなかったからこそ、今までの知見を見直して活かすしか道はないんだろうなあ、と思っています。
あとは、人間がAIに引きずられないことが大事なんでしょうね。ツールに合わせた工程改善も必要ではあるものの、仕様その他で人間が手綱を引いておく必要があると考えています。
*1:https://eow.alc.co.jp/search?q=game+changer
*2:ここではアジャイルだのウォーターフォールだの議論したいわけではないので、雑に書いています。なんかこういうの見て突っかかってる人たまに居ますよね
*3:私もかつてSESの会社に在籍して仕事していたので、結構強くこう思っています。上が下に強く当たるのも一緒ですね




